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リーファ

LYFA(リーファ)は1903年にデンマークの首都コペンハーゲンで創業されたデンマークで最も古い照明メーカーの一つでした。光のパラダイムに忠実であるというデザイン理念に基づき、才能あるデザイナーとのコラボレーションにより生み出された革新的なアイデアは近代照明器具開発の基礎となり、1950年代にはオリジナル性に富んだ高品質なモダニストランプを送り出すメーカーとしてすでに国際的な評価を得ていました。企業としてさらなる拡大を続けたLYFAでしたが、1970年代より世界的なM&Aの荒波のなかで買収や統合を繰り返し、1990年代についにブランドとしての幕を閉じることになりました。その後、多くの象徴的アイテムは他のメーカーに引き継がれたり、あるいはビンテージとしてコレクターの評価を受け、アーカイブのなかで生き続けました。
2020年、LYFAはデザインディレクター RASMUS MARKHOLT(ラスムス・マークホルト)の手によって突如失われた時を取り戻すかのように再生しました。新生-LYFAは、現代において残るべき歴史的名作を単に復刻させることのみならず、オリジナルデザインを尊重しながらストラクチャー、マテリアル、カラーリング、サイジングという視点で現代的なアップデートを施しました。そしてオリジナルのデザイン言語と誇り高い伝統への情熱をもって、ここからさらに未来に向けて新しいLYFAのデザインを生み出すというテーマを掲げています。



Our StoryScenes with light

  • デンマーク照明デザインにおいて一時代を築いたLYFAの
    1903年まで遡る輝かしい歴史と復興へのエピソードをご紹介します。

  • 1903

    Building on proud traditions

    LYFA(リーファ)はデンマークの首都コペンハーゲンで創業され、
    その歴史は1903年にまで遡るデンマークで最も古い照明メーカーの一つでした。創業時の名称は「KOBENHAVNS LAMPE OG LYSEKRONE FABRIK(英:コペンハーゲン ランプ アンド シャンデリア ファクトリー)」略名として「KLLF」と呼ばれていました。

  • 1930

    The iconic sun boat logo

    1930年代には元名の一部である「LYSEKRONE FABRIK」から頭文字をとって LYFA と改名され、新たなブランドアイコンとしてバイキング船の背後に輝く太陽を据えた「サンボート」が採用されました。
    これは永くLYFAのブランドアイコンとして引き継がれることになります。
    新生-LYFAでは当時のアイコンにあった太陽を象徴するデザインをオマージュし、その光の影によってLYFAのロゴを表現しました。

  • 1950—1960

    The LYFA Park

    LYFAは装飾照明のみならず工場用、商業施設用、屋外照明などを開発する総合メーカーとして成長。膨大なコレクションと400人以上のスタッフを有する当時の企業規模はデンマークの「照明業界」を形作りました。
    LYFAは40年に渡りコペンハーゲン郊外のモーレウという街に本社を置いていました。1950年代、そこには非公式な鉄道駅があり、1979年までLYFAの従業員のために営業日の朝夕のみ停車していました。この駅はプラットホームだけが今も残っていますが使用されてはいません。現在の周辺はLYFA PARKと呼ばれ、商業施設とコワーキングスペースが開発されるエリアに様変わりしています。

  • 1956

    The right light with LYFA

    LYFAの築き上げたデザイン哲学は今日の照明器具開発の基礎となりました。
    その高度で先進的な専門知識はマーケットの成長へ繋げるための啓蒙活動にも向けられ、それらは1956年に発刊された「照明のハンドブック」に集約されました。ここには「あらゆるシチュエーションのための照明」「現代の家のための照明」「正しい光を手に入れる」などのスローガンが示され、LYFAの進める現代的な照明手法のステートメントになっていました。

  • 1960—1970

    DIVAN2 the Tivoli pendant

    「DIVAN2」は1877年にNIMB夫妻によってコペンハーゲンのランドマークであるチボリ公園の湖畔に創業された歴史的なレストランの名称です。
    1962年、このレストランのリニューアルの依頼を受けたサイモン P・ヘニングセンは、公園の湖面に落ちる夕日と細波によって輝く光のハレーションをコンセプトに、エッジの効いたスラットを効果的に配置した演劇的なペンダントを作り出しました。
    非常に個性的で圧倒的な存在感を放つこのペンダントは光のカスケードとも称され、後にジョージ・ジェンセンのショップアイコンとなりました。
    その後デンマーク国内および国際的な様々な賞を受賞し、パリのルーブル美術館に展示されることになります。
    現在このレストランの名称はなくなりましたが、同じ場所はNIMB HOTEL GROUPによって引き継がれています。

  • 1970—1980

    Colourful 1970s

    1930年代から数多くのプロダクトデザイナー、建築家、アーティスト、工芸家とのコラボレーションを実現(※1)。バウハウス思想を受け継いだ PEIT HEINの名作 RA LAMPで1929年のバルセロナ、1935年のブリュッセル万国博覧会で金賞を受賞するなど、今見ても豪華な顔ぶれと生み出した革新的な照明の数々は10以上ものIFデザイン賞を獲得。ブランドとしての全盛期を迎えます。
    1970年代にはカラーガラスやプラスティック、アルミニウムを多用したスペースエイジーなデザインを打ち出し、世界的な流行をリードしました。
    ※1
    BENT KARLBY, EVA&NILS KOPPEL, PEIT HEIN,
    SIMON P.HENNINGSEN, SVEN MIDDELBOE, LOIUS WEISDORF,
    FINN JUHL, JO HAMMERBORG, CLAUS BONDERUP&TORSTEN THORUP,
    FRITZ SCHLEGEL, ACTON BJORN, KLAUS HELWEG-LARSEN,
    MICHAEL ANDERSEN

  • 1980—1998

    The end of an era

    企業としても拡大を続けた LYFA は1978年には革新的な照明メーカーとして知られるFOG&MORUP を買収。80年代に入るとさらに上場企業である LYSKAER との合併を果たします。しかし90年代以降は更なる企業買収の荒波のなかで汎用照明の大手であった HORN BELYSNING に買収されブランドとしての幕を閉じることになりました。

  • 2020

    Relaunch

    2020年9月、新生-LYFA はデンマークのデザインイベント「3DAYS OF DESIGN」で印象的なアンヴェールの時を迎えました。会場のキュレーションを担当したのは GAMFRATESI 。彼らはコペンハーゲン郊外に3棟の KOLONIEN社製モデュールハウスを建築。1棟ずつ3つのテーマに沿って作品を展示するという試みは国内外から注目を集めました。

    新生-LYFA の創業者でありデザインディレクターである RASMUS MARKHOLT はLOIUS POULSEN でキャリアを積み、2005年に LIGHTYEARS(現 FRITZ HANSEN)の創業メンバーに加わりデザインディレクターに就任。CECILIE MANZ、KASPER SALTO、BJARKE INGELS、GAMFRATESI など当時の新しい才能を登用して注目を集めました。今日、彼らはデンマークのみならず世界的にも最も著名で影響力のあるデザイナー・建築家として活躍しています。RASMUS MARKHOLTのディレクションが与えたインパクトは当時のデンマーク新世代のデザイナーに新しい方向性を示し、デンマークのモダンデザインが躍進する転機となりました。

    革新的なディレクションが目を惹く一方、彼はアーカイブの熱心な研究者でもあり、過去のディレクションの中でもモダンとビンテージの融合を積極的に試みる姿勢を見せました。そして、自身の新しいステージとして選んだのが LYFA の「復興」でした。かつて LYFA で生み出されたデザインが当時のデザイナーの家族や管理者の承認を得た正統性を持って新生-LYFA によって再び生産されます。

    さらに、LYFAオリジナルのデザイン言語と誇り高い伝統への情熱を持って、未来に向けた新しいLYFA 製品が生み出されていきます。

story continues.

  • Designer

    Bent Karlby

    1912—1998

    ベント・カールビー

    建築家を目指し、デンマーク機能主義の先駆者である Vilhelm Lauritzen (ヴィルヘルム・ラウリツェン) の元で学んでいましたが、第二次世界大戦が始まるとナチへの抵抗運動に身を投じ、難民救済のためのジャーナリズム活動を行った経歴をもつ異色のデザイナーとして知られています。戦後はアメリカを含む世界中を放浪。そこで得た自由な価値観と人間愛をもってマルチな才能をもつアーティスト・デザイナーとして開花します。

    1940年代にはすでに美術画家として認められており、その才能から植物をテーマとした壁紙・テキスタイルデザイナーとしての地位を築きました。
    その作品は現在もロンドンのビクトリア&アルバート ミュージアムを含む多くの美術館に常設展示されています。

    1950年代からはLYFAの主要デザイナーとして照明デザインをスタート。そのコラボレーションは40年にわたり、まさにLYFAを代表するデザイナーとなります。彼のデザインの特徴は有機的なフォルム、柔らかな光、そして独特なスリットの配列にあります。

    1970年代には世界的流行となったビビッドな色調とプラスティック素材を多用したスペースエイジーなモダンデザインを牽引しました。

  • Designer

    Sven Middelboe

    1910—2001

    スヴェン・ミデルボー

    スヴェン・ミデルボーはビジネスのキャリアから一転してデザインの道に進むことを選び、後に照明は彼の専門分野となりました。

    プリツカー賞をうけた著名な建築家であるJoan Utzon (ヨーン・ウッツォン)と共に、1940年代後半に自身の照明製造会社を設立。2人のコラボレーション作品として発表した「SUNDOWNER」や「TIVOLI 」はよく知られています。1955年に先進的な照明メーカーであったNORDISK SOLARの社内デザイナーとして採用され、その後数十年に渡ってNORDISK SOLAR社のデザインに携りました。

    彼の表現方法や素材の選択はトレンドの変化に合わせて柔軟に進化し、1970年以降は流行色を積極的に採用したプラスティック素材の照明器具を多数デザインしました。

    スヴェン・ミデルボーはそのデザインキャリアの中で光学的なアプローチによってシェード構造を研究し続け、それは1978年発表のVERONA のペンダントに集約されました。

    水平基調で優美なフォルムと安定感をもつこのシリーズは瞬く間に人気を博し、彼のデザインの中で最も象徴的なペンダントの一つとなりました。

  • Designer

    Simon P. Henningsen

    1920—1974

    サイモン P・ヘニングセン

    デンマークの伝説的な建築家であり、照明デザイナーであるポール・ヘニングセンの息子であるサイモン P・ヘニングセンは、幼少期より光の種類やそれぞれの光がもたらす異なる特性についてについて学びました。

    コペンハーゲンのランドマークであるチボリ公園のチーフアーキテクトであったポール・ヘニングセンと共に様々な設計を手掛け、1948年にはサイモンが父親の後を継いでチボリ公園のチーフアーキテクトに就任しました。1962年、サイモン P・ヘニングセンは、チボリ公園の有名なレストラン「DIVAN2」のためにデザインされた新しいペンダントを発表しました。
    非常に個性的で圧倒的な存在感を放つそのペンダントはLYFAによって生産され、多数の国際的な賞を受賞しました。

    その後もLYFAとのコラボレーションを拡大し、演劇的な光や色彩効果を探求し続けました。彼の作品は幾何学的な美学をもち、反射やきらめき感といった効果的な光を放つ独創的なデザインとして今もなお世界中のコレクターから評価されています。